コミュニケーションタスクにおけるコミュニケーション指導と文法指導のバランスー初級学習者へのタスク前指導の効果

投稿者: 石山ひかる| 査読者:  西澤倫 | 日付: 2021年01月08日

Photo by Zen Chung on Pexels.com

研究の背景 

・英語を外国語として学習する場合、英語学習者は教室外での英語の使用機会がほとんどない。また、大学入試では読解問題や語彙文法に関する問題が中心に出題されるため、コミュニケーション指導は軽視される傾向にある。

・従来の実験研究により、以下の3つのことが分かっている。

  1. タスク中心指導(生徒が文法ではなく意味に注意を向けて、目標言語(今回は英語)を理解し運用するクラス内活動)は、コミュニケーション指導と文法指導を両立させることができる。
  2. タスクを行う前に事前準備をした方が、事前準備がない場合よりも、学習者はより複雑な統語構造を用い、正確かつ流暢に話せることが分かっている。しかし、これまでの研究は大学生を中心にしており、初級学習者を対象とした研究は少ない。
  3. 発話の正確さを学習の目標とする場合、事前に文法指導を加えることで事前準備の時間をより有効に用いることができる。

この研究の目的

・英語を英語圏以外で学ぶ環境において、初級学習者のリテリングは、タスクの事前準備にどのように影響されるのかを検証する。

研究手法

・合計112名の日本の高校生(15-16歳)は話し手と聞き手に分けられた(ペアワーク)。話し手は3つのグループに分けられ(下記参照)、音声のモデルを聴いた後にリテリングした。

グループ1(17人):事前準備なし(音声モデルを聞いた後、すぐさまリテリングを行った)

グループ2(20人):5分間の事前準備はあるが、どのような文法を使うかに関する指導はなし

グループ3(19人):5分間の事前準備に加え、関係詞のハンドアウトが配られ、参照するように指導された

・リテリングは関係詞の数と質、統語構造の複雑さ、また発話の流暢さの4つの観点から評価された。

結果

・関係詞の補足説明と事前準備の時間が与えられたグループ3が関係詞の数と質において最も優位であった。しかし、統語構造の複雑さと流暢さにおいては3つのグループ間で大きな違いが見られなかった。

考察・示唆

初級学習者にコミュニケーションタスクを与える際、事前準備の時間を与えるだけでは特定の文法項目の使用には結びつきにくい。事前準備と事前の文法指導を組み合わせることで、外国語学習環境下であっても、オーラルコミュニケーションタスクをより効果的なものとして用いることができる。

論文情報:  Mochizuki, N., & Ortega L. (2008). Balancing communication and grammar in beginning-level foreign language classrooms: A study of guided planning and relativization. Language Teaching Research12(1).https://doi.org/10.1177/1362168807084492

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